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2017年 06月 26日
先日見に行った都美セレクション「新章風景♯2」は個人的に色々と考えさせられる展示だった。まず、福嶋幸平さんの映像作品がとても良かった。山水画を思わせるような映像、動く画を十分に堪能。画面は壁から離れて宙づりになり、空間に揺らぐ画のフレームの境と空間との関係が新鮮。 同じく福嶋さんの襖を使った写真作品も美術館の空間で独立した静けさを生み出していた。単に奇をてらったアイディア勝負だけで終わってない作品と感じられたのは、完成度が高いということなのかな。こちらは襖なので写真の境が、向こう側、奥へと意識させられる。彼岸と此岸の観念を想起、その観念の作用を考えていた。風景と境界の関係性はよく語られるけど、日本の境界と大陸文化の境界とは違いがあるんだろうなぁとか思う。 他には北沢美樹さん、伊藤真澄さん、は個展で見てみたい作家さん。北沢さんは、身体が醸し出す、ジェスチャーの妙。個人的にはハンスベルメールの人形作品をちょっと思い出す。光が腕に差して線になっている写真にはリストカットをイメージするものがあったけど、鬱屈した感情等を作品という形で昇華するというのは、芸術の担う大切な役割なのだと思う。 伊藤真澄さんのランドスケープは、扱うテーマ自体に新しさはない作品なんだと思うけど、新しさを求め続けるだけが新しい時代の価値観じゃないだろうし、 自然と人との関わりについては依然として現実にある問題なので、風景作品が扱うべきものとして、こういう作品があるのが良かった。支持体自体に揺らぎや移ろう意味をも見てとれるけど、緊張感を醸す画面を考えると硬い支持体でも見たい気がしたかな。あと、倉谷卓さんの行方不明のペットの張り紙を複写した作品は、元の写真の意味を考えるとちょっと複雑な気持ちになる。飼い主の許可はどうなのだろうとは思う。
by nyazin
| 2017-06-26 14:17
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